2025/12/04 07:41

プレイバック 〜あの作品を振り帰って#4 〜

私のナンタケットバスケット歴がそろそろ25年を迎えます。

これまでに手掛けてきた私の作品を振り返るシリーズ「プレイバック~あの作品を振り返って~」の第4弾をお届けします。


6x4 Opera (2003年*写真左、 2008年*写真右)

base: cherry

rim: reed(2003年)、cherry(2008年)

stave, weaver: cane

knob: bone(2003年)、ebony interchangeable knob(2008年)

handle: 12” opera leather



私の初めてのお出かけバスケット

実用的なトレイや小物入れではなく、「ハンドバッグとして持てるバスケットを作ってみたい」。

そんな気持ちがふと芽生えた頃、私が最初に選んだのが、この“オペラバスケット”でした。


最初のオペラは2003年に作った、7作品目とバスケットの底にはサインがあります。

オペラというバスケットを作るきっかけは、不思議と、この形にはすぐ惹かれたことでした。

楕円形ではあるけれど、カーブはきれいな半円。丸型の応用だと思えば、初心者でもとっかかりやすい。

そして何より、少し小ぶりなのに高さがあって、長財布がすっぽり収まる。

車移動や、近所へちょっと出かけるときに本当に使いやすいサイズです。

今でも私はこのバスケットが大好きです。


一生懸命だったあの頃の編み目

当時の私はまだ、編むことで一生懸命。

高さが20cmほどあるため、制作でのポイントは“縦軸をまっすぐに編むこと”。

経験の浅かった頃の私は、夢中で編み進めるうちに縦軸が少しだけ曲がってしまっていたのですが、そのまま勢いで仕上げてしまいました。

それでも、初めて自分で作った“ハンドバッグとしてのお出かけバスケット”。

完成したときのあの嬉しさは、今でも胸の奥に残っています。


ケベック旧市街での思い出

このオペラを初めて外に連れ出したのは、8月終わりのカナダ・ケベック。

石畳が続く旧市街の風景に、この小さなオペラがよく馴染んでいました。

写真がなくても、あの街並みとバスケットの相性の良さを、今でも鮮明に思い出せます。


最初のオペラを作ってから数年が経ち、やっぱり縦軸の歪みが気になるようになり、

思い切って曲がっていないところまで高さを切り落としてリメイクしました。

あの頃の“未熟さ”も、今となっては懐かしい思い出です。

その後は何個もオペラを作り、木の蓋を付けたり、革ハンドルを替えられる金具を使って楽しんだり。

と言いながらも、実際は面倒でハンドルはほとんど付け替えず、ずっと水色のハンドルのままなのです(笑)。

案外、替えられても替えないものですね。


6インチへのひそかな愛着

私が作り始めた20年前は、オペラといえばサイズは6インチのみでした。

ある時期、お客様のリクエストで材料屋さんが一回り大きい7インチを作るようになり、

今ではすっかり7インチが主流になりました。

でも、私にとって“オペラ”と言えば、やっぱり6インチ。

ほんの一回りの違いなのに、雰囲気がまったく変わります。

あの小ぶりで愛らしい佇まいこそ、私が心惹かれたオペラの姿なのです。


25年間の制作の中で、いろいろなバスケットを作ってきましたが、

この“初めてのハンドバッグ”としてのオペラは、今でも特別な存在です。

次回の作品紹介も、どうぞお楽しみに。


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