2025/03/14 23:48

ナンタケットバスケットの代名詞とも言われる、蓋付バスケット。

ナンタケット島の捕鯨の歴史から、蓋につける飾りは鯨や貝のモチーフが多いですが、

最近は、洋服や季節に左右されない飾りや、蓋に使われている木の素材を活かして、

あえて飾りをつけないシンプルなバスケットに人気が集まってきています。

けれども、飾りのないシンプルなバスケットは、蓋の素材やバスケットの仕上がりが勝負になるので、

作り手の腕が試されるところだなと思います。


そんな飾りなしの蓋付きバスケットを数多く作ってきましたが、

去年納品したバスケットは、ここ最近でも一番の出来と言うぐらい綺麗に仕上がりました。

あまりにも綺麗だったので、私が使っている今年の卓上カレンダーの1月の表紙にしたぐらいです。


バスケットの形は、ナンタケットバスケット定番の7インチカクテルパース。

蓋、ハンドル、留金などを黒檀でそろえたバスケットは、

シックで品があり、年齢や流行に左右されることなく、長く持てそうな作品です。

特に、バスケットを置いた時のシルエットの美しさがこのバスケットの一番の魅力だと思います。


実はこのバスケットは、結婚記念のサプライズで奥様にプレゼントしたいと旦那様からの依頼で

半年前から密かに進めていたプロジェクトでした。

サプライズなので、どうやって上手く奥様の好みのバスケットを聞き出そうかということから始まり、

途中で奥様にバレそうになって、ヒヤヒヤしたこともありましたが、

最後は贈られたバスケットを持ってお二人の笑顔の記念写真がいい思い出になりました。


依頼主がまだナンタケット島へ行ったことがないと伺い、

それならば、お二人でこのバスケットの飾りを選ぶという楽しみを残すことを提案し、

飾りがなくても十分素敵なバスケットを作ることにしました。


孫の代まで持てると言われているナンタケットバスケット。

バスケットの制作者の名前はバスケットのボトムの裏に彫り、

蓋の内側にバスケットの持ち主の名前が入ったネームタグ、”クォーターボード”をつける習慣があります。

その持ち主の名前の下に、バスケットを引き継いだ子供の名前、

そしてお孫さんの名前のクォーターボードを足していく楽しみがあります。

今回、私からの心ばかりのお祝いで、奥様の名前が入ったクォーターボードを蓋の内側につけました。

このことは、奥様にはもちろん、依頼されたご主人にも内緒のサプライズ。

バスケットを手にして開けた時のお二人の驚いた顔に、ふふふと笑ってしまいました。

このバスケットならば、10年、20年後にお子さんへと引き継いで楽しんでもらえそうな気がします。


バスケットをお渡しした時、あまりにも驚きすぎて、言葉が出なかったという奥様。

持って歩くのがもったいない、緊張しますとおっしゃっていましたが、

アニバーサリーディナーやお知り合いの結婚式へバスケットを持って出席されたご報告を聞き、嬉しいばかり。

このバスケットとともにたくさん出かけて素敵な思い出を作って、

時を重ねていい色にバスケットがなるのと同時に、

これからも幸せな記念日を重ねられますように。

K様、どうもありがとうございました。


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