2025/02/22 00:39
〜あの作品を振り帰って #2 〜
私のナンタケットバスケット歴がそろそろ四半世紀に近づいてきました。
製作中の忘れられない思い出の中で、輝かしい出来事もあれば、必ずしもいいことばかりではなかったり…。
当時の制作話と作品への思いを書き留める備忘録として、作品をの数々をご紹介します。
今日ご紹介するのは、使い勝手のよいトレイとして人気のこちら。
「10”Round Tray」2003年
base: cherry
rim: reed(2003), cherry (2025)
stave, weaver: cane
バスケットを習い始めた一年目に、一つは伯母へ、もう一つは義理の両親へ贈り、
そして自分用にと、三個作りました。
当時は、作ったバスケットに通し番号をつけていて、
伯母に贈ったバスケットには「03」、義理の両親のバスケットには「04」、
私の手元に残ったトレイの裏には「06」と刻印されています。
(飛んだ番号02と05のバスケットについては、また追々お話します。)
3つともバスケットの底板(ベース)の素材はチェリー、
バスケットの枠(リム)はリードでしたが、
一つだけ初めて縦軸をウッドで作ったものがありました。
その当時、まだサンディングの機械などを持っていなかったので、
手のひらにおさまるぐらいの小さな鉋で縦軸のウッドの角を取り、
木の目の方向を読まないと、鉋の刃が深く入ってしまい、
木の扱いに悪戦苦闘したことを覚えています。
このバスケットは、義理の両親宅で、朝食時のパントレイとして使ってもらっています。
私の手元に残ったトレイは、他の2つと違って、浅く編んだもので、引き出しの中に入れて使っています。
バスケットの習い始めの頃は、編むことに一生懸命で、
ついつい型いっぱいの高さに編んでしまうことが多いのですが、
このトレイは、あえて浅く編もうと決めた作品でした。
けれども、浅く編んだバスケットに枠(リム)をつける方が、
普通の型の高さまで編んでリムをつけることに比べて難しいとは知らず、とても苦戦しました。
結局、まだ乏しかった私の技術力で仕上がったトレイは円形ではなく、
少し歪んだトレイになってしまった苦い思い出のある作品でもありました。
先日、枠のまわりを縁取りしているハイドケーンが数箇所切れていることに気づき、
修繕するついでに、思い切って、長年気になっていた歪んだリムを取り替えることにしました。
当時は、自分でリムを作っていました。
バスケットのサイズにあわせてリムの素材になるリードを測り、切って、削って、お湯で煮て、
リムの型につけて乾かし、成形するまで一人で作業していました。
枠に使用していたリードは、安価で、柔らかく、扱いやすい素材ですが、あまり色が経年変化しません。
20年以上経った私のバスケットも、底板のチェリーが深い赤茶色に変化しているのに比べて、
巻いたケーンの日焼けの跡こそはありますが、リードリムの色は当時とほとんど変わっていませんでした。
今回は底板と同じ素材のチェリーに付け替えました。
切れてしまったハイドケーンをすべて取り除き、リムに打ち込んだ釘を外し、リムを取り外す作業は、
どのようにして作っていたか、昔の私の作り方の過去を紐解くような感じです。
高さを調整していた鉛筆の線が残っていたり、枠の張り合わせた際にできたクリップの跡があったり、
作ることで一生懸命だった当時の私を思い出します。
バスケット裏には使用してできた傷があったので、
綺麗にお化粧直しをして、丸く整形されて、再出発です。
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