2022/03/24 03:35



(写真左:真田紐トートhttps://www.nantucketfirelight.jp/items/18267392


バスケット を一人で作れるようになると、自分の足と目で良い材料を探して、作りたくなるもの。

木材を入手し、木を切ったり、削ったりする機械を揃え、

ある程度の木工の知識があれば、ベース、ハンドル、リムなどは作れるようになります。

けれども、ケーン(籐)だけは、仕入れなければバスケットを作ることができません。


ケーンはバスケット 作りでなくてはならないもの。

ケーン不足が最近の私の気がかりです。


ここ最近、材料屋さんでケーンの品薄のことが多く、届くまで数ヶ月待つこともあります。

特に一番使うサイズが品薄で、入荷してもすぐに売り切れてしまうので、在庫がある時に余分に買い置きをしています。

ケーン一巻で5インチぐらいのオープンバスケット が大体4〜5個分と計算していますが、

最近のケーンの質が良くないものが多く、輸送中の保存状態なのか、それとも材料の生育状況が悪いのか、

切れやすかったり、ささくれが多かったり、質の悪いものを間引きすると、一巻の1/3が使えないことがあります。

もちろん、商品として作るバスケット には細心の注意をはらってケーン選びをしますが、

自然素材を扱うため、色味を揃えたり、質のいいものをキープすることは、なかなか難しいです。


ナンタケットバスケット に使われるケーンは、主にインドネシア、中国から輸入されています。

15年以上前にインドネシア政府が籐の材料輸出規制を行ってから、

材料屋さんで取り扱う大半のケーンが中国からの輸入になりました。

さらに、この2年はコロナウィルスの大流行で、製造が停止したり、輸送に時間がかかったりと、

大きな影響を受けていて、元のように流通するまではもう少し時間がかかる様子です。

今ある材料を大事に使わないとと思ってはいますが、

粗悪なケーンを入れている袋の中がだんだん増える一方です。


以前、友人のお宅で、竹細工の作家さんに竹籠を習う機会がありました。

小刀を使って、器用に竹を同じ幅に割き、厚みを薄く削ぐ作業を見せてもらい、その動きは流れるようでした。

その時に、竹細工の作家さんから聞かれて困ったのが、

「ナンタケットバスケット を1個作るのに、ケーンはどれぐらい(m)必要ですか?」


竹カゴは、自分で竹を割いて、良材の確保ができて、竹カゴ一つ作るのに必要な長さ(量)がわかるそうです。

その時作った竹カゴならば、●cmぐらいが●本で、1つ作るのに●mぐらい必要だという感じに。

1つの作品に必要な竹の量を長さでわかるのは、

竹カゴは「編む」というよりも「組む」に近いからなのかなと思いました。

ナンタケットバスケット は、どちらかと言うと、「編む」。

感覚で言うと、糸を繋いで作る編み物のようなのかもしれません。

何メートル必要とは言えないけど、これぐらいの束でできるということは予想できます。

でも、最近はケーンの質のせいで、思っていた以上の量を使うことが多く、束を余分に用意しています。


ケーンがないとバスケット が作れないから、在庫を充分に用意しても不安になります。

バスケット メーカーにとっては、このケーン事情、切実な悩みです。


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